騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
仲森さんは一体何を考えているのだろう。
もうわたしたちは、ただの上司と部下なのに。
「とにかくわたしの部屋は無理です。それに、部屋がぐちゃぐちゃでもそこで寝られないことないでしょう?」
思ったより低い声が出て、早口になってしまう。
仲森さんもそんなわたしに少し驚いたようだ。
「そ、うだな……悪かった」
「………」
「もう泊まらせてくれなんて言わないから、一つだけ……」
さらに掴んだ腕を引っ張り、わたしの体の向きを変え、彼の方に向かされた。
「そんな風に、俺を避けないでくれ」
そして、仲森さんはわたしの背中に腕を回し……
そのまま自分の方に引き寄せ、
ギュッと力を込め、仲森さんはわたしを抱きしめた。