騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~



仲森さんは一体何を考えているのだろう。

もうわたしたちは、ただの上司と部下なのに。




「とにかくわたしの部屋は無理です。それに、部屋がぐちゃぐちゃでもそこで寝られないことないでしょう?」


思ったより低い声が出て、早口になってしまう。


仲森さんもそんなわたしに少し驚いたようだ。





「そ、うだな……悪かった」

「………」

「もう泊まらせてくれなんて言わないから、一つだけ……」



さらに掴んだ腕を引っ張り、わたしの体の向きを変え、彼の方に向かされた。





「そんな風に、俺を避けないでくれ」



そして、仲森さんはわたしの背中に腕を回し……

そのまま自分の方に引き寄せ、


ギュッと力を込め、仲森さんはわたしを抱きしめた。






< 194 / 519 >

この作品をシェア

pagetop