騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
それで彼がそんなに急いでいるのだと思ったわたしも、すぐに車を降りようとすると……
流川さんがすでに助手席のドアを開けていた。
「あっ……」
「麻菜ちゃん、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
そっと差し出された手から、彼は本当に紳士だと改めて実感した。
あの人と似たような容姿で、こんなことをするのはやめてほしい。
違うのに、同じ感覚に陥ってしまう。
ドキドキするの……
「どうした?麻菜ちゃん」
じっと彼の顔を見ていたわたしの顔を覗き込みながら、彼が言った。
「あっ、いえ……ただ、流川さんってやっぱり紳士だなって思っただけです」
「え?そんなことないよ」
「そんなことありますって。外人より紳士なんじゃないかって思うくらい」
「いやいや。これ、普通でしょ」