騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
「遅れてごめん。そこで事故遭ったみたいで」
「事故が?そう言えば、さっきサイレンの音が聞こえたかも」
遅れたのはほんの1,2分なのに、流川さんって……
律義というか、真面目というか。
それから乗ってと急かされ、わたしは彼の車に乗り込んだ。
「あの……流川さん。今日はどこに行くんですか?」
「うーん。まずは映画かな。麻菜ちゃんが好きそうな映画やってるから」
「わたしが?」
「そう。きっと、ね」
流川さん、わたしの好みの映画知ってるって……
わたし、そんな話したっけ?
そんな疑問はありつつも、わたしを乗せた車は真っ直ぐ映画館に向かった。
「はい、到着」
パーキングに車を止めてすぐに、流川さんは車を降りた。
もしかして映画の時間が迫ってるとか……?