騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
そして、2時間半後———。
流川さんとわたしは再び、彼の車に乗りあるところへ向かっていた。
あるところというのは、わたしもまだ知らなくて。
「流川さん、何処に向かってるんですか?」
「次はね……ご飯食べに行こうと思って。でも場所は秘密ね」
やっぱり秘密か。
予想はしていたけれど、流川さんはお楽しみが好きらしい。
もうすぐ18時になるところだから、着く頃にはちょうどいい時間帯かな。
「麻菜ちゃん、食べられないものとかある?」
「食べられないものですか?いえ、ないですよ」
「そっか、ならよかった。これから行くところ、もの凄く料理美味しいから」
「そうなんですか!楽しみです!」
昔からよく食べ物に釣られやすいと言われ続けてきたけど。
たった今、それを実感した。
わたし、本当に食べ物に釣られてるし……