騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
そして、着いたのはイタリアンレストランだった。
「麻菜ちゃん、イタリアン大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫です」
「麻菜ちゃんは初めてだよね?ここ、最近できたばかりらしいから」
「え、あ、はい」
少し返答に渋ってしまったのは、このイタリアンレストランが……
以前に来たことのあるレストランだったから。
しばらくアメリカにいたから、おそらく流川さんはわたしは行ったことないだろうと思ったんだ。
今さら言えないよ。
前に幸さんに連れてきてもらいましたなんて。
テーブルに着くと、優しく細められた瞳がずっとこちらを見ていた。
「あ、あの……流川さん?」
熱い視線に耐えきれなくなった頃、流川さんの名前を呼ぶと。
細い瞳がさらに細められた。