騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
「……どんな顔して会えばいいのよ」
それと同時に問題なのが、何故あの時……
わたしはすぐに断らなかったのだろうということ。
告白の返事を、あの時すぐに出来たはずなのに出来なかった。
もう、わたしは彼の隣にいる資格なんてない。
だから断るべきだったのに……
あの時、隠してきた想いが断るという行為を邪魔したんだ。
ずっとダメだダメだと自分に言い聞かせてきたのに。
彼からの告白で、それが一気に砕け散ったような気がした。
断らないとダメという思いと、素直になってもいいのかなという思い。
二つの思いがわたしの心を支配している。
それでもわたしは、なるべく彼と関わるのはよそうと心に決めて、会社に足を踏み入れた。
「……お、はようございます」
運の悪いことにウチのショップでは出勤したのがわたしが2番目で。
珍しく1番に出勤した仲森さんと、早速顔を合わせることになってしまった。