騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
今日の旅行で、よく分かったことだった。
わたしたちには全く計画性というものがないことを。
考えて見れば、泊まるところも行く場所もほとんど考えていなかった。
「外観も素敵だったけど、部屋も落ち着いた雰囲気で素敵!」
「くくっ……麻菜、はしゃぎすぎ」
仲居さんに通されたこの部屋から見える景色。
のんびりしたこの落ち着いた雰囲気が、さすが名のある旅館という感じだった。
「7時くらいに料理持ってきてらもうようにしておいたから」
「えっ?そうなの?いつの間に……」
「麻菜がこの旅館に感動してる間に、ぷっ」
「ちょっと!笑いすぎだって!秀ちゃん!」
「あはは!麻菜は相変わらずだなぁと思って」
相変わらず、うるさいってことかと、悪口を言われているようにしか思えない。
「ふっ、相変わらず可愛いってことだよ」