騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
4.流川の気持ち
「まーなちゃん。どうしたの?」
あの二人の姿を見てからというもの、何も考えられなくなって。
自分が今どこにいるのかも分からなくなってしまった。
そんな時、現れたのは流川さんで。
「ひゃあっ、あっ……流川さん」
雨が降っているにもかかわらず、傘をささずに歩いているわたしに、
傘をさしてくれながら、優しい声もかけてくれた。
「それで、麻菜ちゃん。こんなところで傘もささずにどうしたの?」
「え?あの、うーん。どうしたんでしょう……」
「……それ、俺が聞いてるんだけど」
そう言えば、さっきよりも雨がひどくなってる気がする。
それにも気付かずに歩き続けるなんて、わたしったら何をやってるんだか。