騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
貸してもらった服に着替え、再び流川さんのいるところへと戻っていくと。
何やらお友達と会話がはずんでいるようだった。
「あっ、麻菜ちゃん。終わった?」
わたしの姿を見つけると、会話を中断してこちらを見た流川さん。
「あの、玲さん。ありがとうございました」
「いいのよー。またいつでも遊びに来てね」
「はい、またすぐに服返しに来ますね」
それじゃあと、玲さんたちに別れを告げて、バーの外へと出た。
「麻菜ちゃん、家まで送るよ。あっ、雨もいつの間にか止んでるね」
さっきまであんなに降っていた雨が、もうすっかり止んでいる。
今日は秀ちゃんのあんな場面を目撃して落ち込んでいたけど。
流川さんに会って、それが少し和らいだ感じがする。
「ねえ、麻菜ちゃん」
「……はい?何ですか?流川さん」