騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
「麻菜、クラウドさんからさっき電話が来たんだ」
「え?クラウドさんから?」
クラウドさんというのは、アメリカ本社のわたしとジョンの上司だった人だ。
ジョンとは頻繁に連絡を取り合っているようだけど、わたしにもこうして伝えてくるなんて珍しい。
「僕と麻菜が日本に来て、もうすぐ10ヶ月になるだろう?」
「ええ、そうね」
「僕たちがここの助っ人としている期間は1年だったよね?」
「そうね……そう言えばもうすぐ……」
気付けばもう10月。
約束の1年までもうすぐという時期になってしまった。