騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
昔、秀ちゃんに大けがさせて夢を奪ったのはわたし。
それが原因でマスコミに騒がれ、おじさんとおばさんに迷惑をかけたのもわたし。
二人に辛い思いをさせて、精神的に追い込んだのもわたし。
それからわたしは、迷惑かけた二人に謝りもせずに、アメリカへと逃げた。
そんなことをしておきながら、今さら二人にどんな顔をして会いに行けるというのだろう。
きっと二人もわたしを憎んでいるはずだ。
自分の息子の夢を奪い、自分たちまでも追い込んだわたしのことを。
「麻菜、そんな顔しなくていい。あの時のことは気にしなくていいんだ。何も心配することはないから」
「秀ちゃん……」
またそっと抱きしめられ、わたしを安心させるように頭を撫でた。
「大丈夫。大丈夫だから、日曜日一緒に行こう」