騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
「早く入ってこいよ」
ずっと会いたかったけど、会うのも怖かった。
秀ちゃんに手を引かれ、とうとうおばさんの前に顔を出した。
「あ、あの……」
「……も、もしかして、麻菜ちゃん?」
わたしが隣に住んでた加藤麻菜だと分かったら、おばさんは顔を歪ませると思ってた。
でも、全くそんなことはなくて。
驚きの表情を見せた後、すぐに優しい顔になった。
そう、まるで昔と同じように。
「本当に麻菜ちゃんよね?」