騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
「ふふっ、薫くん。麻菜ちゃんにオジサンみたいって言われてるわよ」
かなり小声で囁いたはずなのに、幸さんには聞こえていたみたいだ。
しかも先輩に言うことないのに。
「は?オジサン?加藤、そんなこと言ったのかよー?」
「あっ、いえ!滅相もない!ク……じゃなかった。先輩、お邪魔します!」
「かーとーおー?」
「……まだ呼んでないじゃないですか」
思わず、クマさん先輩って呼ぶところだった。
まだ高校のときの呼び方が抜けてないみたい。
「え?なに?どういうこと?」
訳が分からないという幸さんに先輩のあだ名を説明した。
先輩は必死にそれを食い止めようとしていたけど。