大地主と大魔女の娘
 最初の内、彼が何を言っているのかなんてさっぱり理解できなかった。


 普段おばあちゃんとは古語でやり取りしていたせいだ。


 公用語も一応は習得済みだったが、思考までもが古語といわれる言語よりの私には、いっかな彼の言葉は浸透してこなかったのだ。

 だからただ怯えた。

 その言葉の持つ響く余韻に苛立ちを感じ取って、狼が空腹で苛立つのと同じだと思った。

 現状に不満がある。

 彼の言葉の持つ響きは盛んにそう訴えていた。

 どうやらそれは私に起因するものらしい。

 ますますうろたえるしかなかった。
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