大地主と大魔女の娘
「あの、私はお嫁に行くのですか?」
「いつか行くだろう」
「いいえ」
「何故だ?」
「魔女ですから」
何をおかしなことを言い出すのだろうかと首を捻った。
そうだ。魔女は魔女らしく、森の中で一生を慎ましく過ごすのだ。
一生着飾ることもなくひっそりと、ただ静寂に包まれて過ごす。
一生を喪に服しているようだと言われても、それが通例だ。
もう一度首を捻ったら、物凄く睨まれた。
このヒトすごく煩わしそうで、私ごとき何か相手にするのもばからしいって態度に滲み出ていて、やるせなくなるから辛い。
何もかも持っているヒトから、そういう目で見られるのは辛い。
自分の惨めさが浮き彫りになるから。
早く解放してくれないかな。
それだけを願った。