大地主と大魔女の娘

「オマエは働いて返済する意思があると言っただろう」

「はい」

「おまえは人の話を聞いていたのか?」

「はい。働いてお金を返さねばならないのですね。ですから、森に帰ります」
「だから、何故そうなる?」

 何故、なぜ等と尋ね返されるのか。

 驚きと戸惑いから目を見張る。

「魔女だからです。魔女は森の恩恵に預かっております。森の恵みが無ければ、私はお金を用意する事ができないと思います」

 そう。

 大魔女の娘の私ができる事は、傷薬を作ったり効能のある薬草のお茶を作ったり。

 それを商って、お金を作って行くしか無いと思う。

「……その前に一人で大丈夫な訳がなかろう」

「今までだって一人で大丈夫でしたが?」


 ちっと鋭く舌打ちされた。

 本気で何が言いたいのか分からない。

 これなら、狼たちの気持ちの方がまだ理解できる。



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