花
…和は今まで、貴史に側に居て欲しいと、思っていた。
あの時 屋上から飛び降りるのを やめた時も、
代わりに貴史に側に居て欲しいと、願った。
しかし今度は、
貴史の″側に居たい″と、思った。
貴史に″何処かに行かないで欲しい″と思う前に、
自分が貴史の側に居たいと……思った。
「…宗谷くん、前に教室で私に″此処に居て″って、言ったよね?
あの時は応えられなかったけど…、
此処に、居るよ。
宗谷くんの側に、ずっと居る。
…大丈夫だよ?」
言いながら、和は また泣きそうに なった。
いつの間にか日は沈んで、辺りは薄暗く なり始めていた。
そんな中、和は…
貴史が息を飲む気配を、感じた。
もしかしたら貴史は驚いているのかもしれない と、思った。