ついに あなたが私の視界から見えなくなって、

1人 部屋に取り残された私は、急に不安に なった。




―あなたは そのまま家に向かっているの?


このまま…、居なくならない よね…?―




不安で、不安で、携帯を握り締めた。


たった今 別れたばかり だけれど、電話を掛けてみようか…。




けれど、掛けよう とした携帯が突然 手の中で鳴り出して、

私は飛び上がる程 吃驚した。






『もしもーし』




「宗谷くん!?」






『…うん そーだけど 笑』




「どうしたの!?」






『どうも しない』




「へ?」






『用事ないけど、掛けちゃった 笑』






あなたは時々、私の心が読めるみたいだ と、思った。




用事が ないけど、寂しくて、あなたが心配で、

電話を掛けたかったのは、私の方。


でも もし あなたの方から電話が掛かって来たら、私が どれだけ嬉しいのか って、

あなたは まるで知っているみたい。






『…あれ?


どした?』




黙ったままの私に、あなたが不思議そうな声で言った。


電話越しの あなたの声は低くて、やっぱり穏やかで優しくて、

耳に心地よく響いた。






『ねぇねぇ』




「…え?」






『寂しいから、

このまま家 着くまで、電話、しててよ』




「……うん」






″寂しいから″。


それは本当に あなたの事だったのか…

それとも私の為に そう言ってくれたのか…。


あなたの本心は相変わらず分からなかった けれど、

あなたが私と話す事を選んでくれたのが嬉しくて、私は笑顔で頷いた。




それから あなたは、

何気ないような話を、楽しそうに話した。


あなたが笑ってくれると嬉しくて、私も たくさん、笑った。





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