孤高の魚



「クリスマスパーティーをしよう」
と言い出したのは、尚子だった。

テストやレポートを終えてしまえば、大学の講義も休みに入る。
23日の祝日がちょうど「さくら」の定休日に重なり、尚子は日取りまでも勝手に決めてしまった。


「ナナミちゃんは? まだ部屋?
支度中かな。
歩夢は? レポートの提出済んだの?」


23日、当日。
そう言ってテーブルで頬杖をつく尚子は、やはりパーティーと言うだけあってめかしこんでいた。
化粧もバッチリだ。


「ああ、僕の方はまあ、心配いらないよ」


僕はと言えば、いつものジーンズにGAPのパーカー。
クリスマスパーティーとは言っても、全く変わり映えしない。


「ちょっとー。
もうちょっとオシャレしなよ。
やんなっちゃう」


尚子にそう文句を言われてしまっても、確かに仕方がない。

どうせいつもの三人だけのパーティーなのだから、お洒落する必要なんかないだろう。
とは、さすがに言わずにおいた。
僕だってそのくらいの女心は、理解しているつもりなのだ。



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