孤高の魚



テーブルの上のケーキ、シャンパン、フライドチキン。
尚子のオレンジジュース、ポテトチップス、カカオの多いチョコレート。

クリスマスツリーもクリスマスソングもないけれど、僕達のパーティーはそれなりに出来上がっていた。


こんなクリスマスなら悪くない。

けれども、僕は気になって仕方がなかった。
クリスマスを嫌いだと言った野中七海。
その事もまた、歩太や一咲さんに関係しているに違いない。

チラチラと野中七海に視線を送りながら、彼女が本当にこのパーティーを楽しんでいるのか、つい気になってしまう。

彼女は何の素振りも見せない。
ただ、歩太からもらったという魚のネックレスが、蛍光灯を反射して眩しく光っていた。



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