孤高の魚



………


翌日の4日はよく晴れた。

カーテンを開けると、寝不足の網膜に光が鋭く差し込んでくる。



「おはよう、アユニ」


「……おはよう」


荷物をまとめ、エレベーターの前でしばらく待っていると、野中七海が笑顔で部屋から出てきた。
彼女の表情には、昨日のような翳りはない。

眠りにはいつも、彼女の憂鬱を充分にリセットしてくれる作用があるのかもしれない、と思った。
それに比べると僕の顔は、随分酷く見えるかもしれない。


僕達は一度、フロントでチェックアウトを済ませた。
今日はこれからアーケードを散策し、再びホテルでチェックインしてから「ブルーバード」へ行く予定だ。



< 424 / 498 >

この作品をシェア

pagetop