孤高の魚


まったく……

僕は彼女に気付かれないように、小さな溜め息を吐く。


公園を吹き抜けて道を渡る夜風は冷たくて、もうすっかり秋を感じさせる。
僕の小さな溜め息はそんな風にすぐに紛れて、跡形もなく消えてしまった。


………


あの手紙が届いてから、確かに僕はこんな予感がしていた。


……野中七海…


僕はいつからか彼女に、少なからず翻弄される事になるだろう。


何故だかはわからないけれど、僕はそんな予感がしていたのだ、ずっと。
あの、ブルーの封筒を開けてしまった時から。



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