愛しい人~歌姫の涙~
起き上がり、部屋のドアを開け、玄関へと向かった。
階段は電気を点けなければ足元が分かりづらいくらいに外は暗くなっているというのに、家には私以外にまだ誰もいなかった。
耳鳴りのような音が聞こえる感覚がするくらい静かだったのは、こういうことだったのか。
玄関を出ると、ちょうど電信柱の外灯の明かりが灯りだした。
かかとで踏んでいる靴を履き直し、山のほうへと続く坂道を登り、いつもの場所へと向かった。
十分くらいすると、小さな岩肌がむき出しになっているところに着いた。
私にとって、ここは無くてはならない場所であり、心の拠り所だ。
ここからは私の住んでいる町がほぼ見渡せ、都会の人に見せると鼻で笑われるかもしれないが、田舎で明かりが少ないながらも夜景が見える。
その夜景に向かって、私は歌った。
歌うことによって、今日一日が無駄じゃなくなる・・・
そんな都合のいいことではないということは分かっている。
私は歌いたくなった。
この場所で、ただ無性に歌いたくなったのだ。
私にとって、この場所は、歌うということは、自分の都合のためにあるのではない。
これから、私はどう頑張っていくのか、どう頑張ればいいのかなんて分からない。
ただ
今は、この場所で歌っていたかった。
階段は電気を点けなければ足元が分かりづらいくらいに外は暗くなっているというのに、家には私以外にまだ誰もいなかった。
耳鳴りのような音が聞こえる感覚がするくらい静かだったのは、こういうことだったのか。
玄関を出ると、ちょうど電信柱の外灯の明かりが灯りだした。
かかとで踏んでいる靴を履き直し、山のほうへと続く坂道を登り、いつもの場所へと向かった。
十分くらいすると、小さな岩肌がむき出しになっているところに着いた。
私にとって、ここは無くてはならない場所であり、心の拠り所だ。
ここからは私の住んでいる町がほぼ見渡せ、都会の人に見せると鼻で笑われるかもしれないが、田舎で明かりが少ないながらも夜景が見える。
その夜景に向かって、私は歌った。
歌うことによって、今日一日が無駄じゃなくなる・・・
そんな都合のいいことではないということは分かっている。
私は歌いたくなった。
この場所で、ただ無性に歌いたくなったのだ。
私にとって、この場所は、歌うということは、自分の都合のためにあるのではない。
これから、私はどう頑張っていくのか、どう頑張ればいいのかなんて分からない。
ただ
今は、この場所で歌っていたかった。