歩み
俺はベッドから下りて、部屋のドアを開けた。
その前をたまたま通った家政婦に富田の居場所を聞き出す。
「ねぇ、富田は?」
「富田さんは、朝早くお父様を迎えに行かれましたよ。歩さん、朝食をお持ちしましょうか?」
家政婦の言葉に納得する俺。
それと同時に安心をした。
富田はこの前のことに怒って逃げ出したのかと思ったから。
親父を迎えに行ってるんだ。
だから電話が来なかったんだね。
「ふーん。そうなんだ。俺昼から学校行くことにする…」
「どこか体調が悪いのですか?」
具合が悪いのは体なんかじゃないよ。
心が具合悪いんだよ。
寝ても治らない。
この病名は恋の病。
「…いや、そうじゃないよ。あとで飲み物持ってきて」
「コーヒーでよろしいですか?」
家政婦の質問に、小さく頷いて、部屋の中へと入って行った。
ただ無駄に広い部屋に、自由を探す少年。
俺はまだ完全されていない体で孤独を感じていた。