歩み
その言葉を聞いた俺は、無意識に歩くのを止めていた。
そして耳を大きくして彼女たちの会話の内容を盗み聞きする。
「あの子ってああいうこと簡単にするんだね。本当に最低だよね。司先輩可哀想だし!」
「だよね!本当にありえない!!歩くんも可哀想!」
新たに追加された単語は、司と俺の名前。
なぜ俺の名前まで?
司の名前ならまだしも、俺の名前までどうして出てくるんだ?
けどそんなのどうでも良かった。
それより腹の立つことがひとつ。
それは、沙紀のことを最低だと言ったこと。
何でそんなこと言えるんだよ?
お前は沙紀のなにを知っている?
知らないのにそんな言葉言うなよ。
怒りが爆発する。
爆発した俺は、彼女たちに近づいた。
「なぁ、お前たちの方が最低だぞ?そうやって陰でこそこそ悪口言ってさ、言いたいことあるなら面と向かって言えよ」
俺は沙紀の彼氏でも友達でもない。
だから沙紀をこういう守り方でしか守れないんだ。