歩み
沙紀を守れないのかな?
「…大嫌い…か。」
脱力感から来ているのか、小さく笑ってしまった俺がいた。
何も言えなくて、何も言う気力すらなくて。
もう沙紀を抱きしめる力すら残っていなかった。
俺は唇を噛み締めて、ドアの方へと向かっていく。
これ以上この空間にいたくない。
泣けてきたしまう。
沙紀に背中を向けて、初恋に終止符を打とうとしたとき、沙紀が俺の腕を掴んだ。
その掴む手は震えていて、俺に伝わってくる。
「へ?」
「何で、アンタは最後まで話を聞いてくれないの?いつもそうじゃない…」
振り返ると、今にも泣きそうな沙紀がいた。
キミは何かを伝えたそうだったね。
キミの瞳を見て思ったんだよ。
「…最後まで話があるの?俺はもう終わったかと思ったんだよ」
優しい口調で話す。
沙紀は俺に座るように支持をした。
それに従うように、絨毯の上に座り、沙紀も近くに座った。
そして口を開いていく。