歩み
恥ずかしいからあまり見ないで。
視線を反らして。
熱いよ、沙紀の視線が熱い。
「何朝から変なこと言ってるのよ?」
「う…うるせぇ!今のナシ!!もう行くぞ!」
やっぱり馬鹿にされた。きっと馬鹿にされると思っていたよ。
けど何か感じて欲しかった。
改めて俺の気持ちを受け取って欲しかった。
いつも通りに沙紀を後ろに乗せて自転車を漕いでいく。
追い風が吹いて、自転車のスピードを速くした。
「歩、あのね…」
突然、沙紀は俺の体をぎゅっと強く抱きしめる。
「沙紀、襲って欲しいの?」
ごめん、ごめんね。
今のは冗談だよ。
恥ずかしくて言葉が浮かばなかったんだ。
「あたしはいつでも歩だけを見ているからね…」
そんな言葉を言わないでよ。
苦しいじゃん。
胸が痛いよ。
俺も沙紀だけを見つめている。
沙紀だけだよ、ずっと。