歩み
この時、俺たちの時間は止まったんだ。
みんなカメラに向かって笑っていた。
その表情はまだ機ごちないけれど、真っ直ぐ相手を想って笑っていた気がするんだ。
ずっとこのままだったら良かったのに。
何枚か撮り終わり、沙紀と小林は落書きに集中をしていた。
俺と優はプリクラ機から少し離れた場所で出来上がるのを待つ。
俺はこの時優に聞いてみたのだ。
「優、どうだった?嬉しいだろ?」
こう聞くと優は再び顔を真っ赤に染めて、足元に視線を落とした。
「やっぱり仕組んでたのかよ?」
「ちげぇよ!ただ俺はお前たちとプリクラが撮りたかっただけ!」
「本当かよ?…けどありがとな。俺に宝物が出来たからさ」
こう言って笑った優の顔がずっと離れないんだ。俺が勝手にゲームセンターに連れてきて、勝手にプリクラを撮ろうと言い出して、けどそれを優は「宝物」だと言ってくれた。
俺は、間違っていなかったよね?
この日、携帯の裏には新たにプリクラが増えた。一つは沙紀との。
二つ目は沙紀と優と小林との。
これだけは剥がしたくない。
だってこれは俺の大切な宝物だから。
けど、夏が終わった時、二人の恋も終わりを告げようとしていた…。