歩み
まるであの時の司を見ているようで、また体が震える。
「好きだから邪魔するだけ。好きな人を求めて何が悪い?それに俺は優って奴がムカつくんだよ」
憎しみを見た気がした。だからこれ以上何も言えなかった。
俺の過去が、今となって帰ってきたのかと思わせた。
司も沙紀が好きで俺と沙紀を苦しめようとした。俺が憎くくて、嫌がらせをした。
先輩も司と同じだ。
何で…、何でだよ…。
『好きだから求める』
間違っていない。
間違っていないけど、他にやり方はあるはずなのに…、どうして…。
「用はそれだけ?じゃあ俺は帰るから」
先輩はこう言って俺の目の前から姿を消した。
追いかけて殴る勇気すら残っていない。
弱い、弱いよ。
俺はまだまだ弱い人間だ…。
この日、先輩の憎しみを見た。
そして秋を迎えた頃、
二人の恋は儚く散る緑の葉のように散ってしまった…。