歩み
修羅場を見たのは初めてだった。
男と女が喧嘩をしているのは見たことあるけど、狂ったように喧嘩をしているのを見たのは初めてだ。
どうしたんだよ?
何があったんだ?
「…何で…」
何を話したんだよ。
答えはこれなのか?
確かめなくちゃ。
俺は慌てて教室から飛び出していく。
「歩!!」
沙紀が俺の名前を呼ぶがそれに応えているヒマはなかった。
気持ちだけが焦っていく。
「あれって鈴木くんと小林さん?どうしたのかな?喧嘩?」
「やばくない?あれ」
廊下に飛び交う言葉たち。
俺はわざと聞こえないフリをしていた。
もし聞いてしまったら、現実なのだと納得をしなければならないから。
荒れる息。
近づくにつれ大きくなる声。
優は嫉妬と素直な気持ちと必死に戦っていた。
「百合は優くんがすべてなんだよ?」
「どうせそれも嘘だろ?お前嘘つくの上手くなったな」
優に信じてもらおうと必死な小林。
それを突き放す優。
二人の気持ちが交差している。
どうして人間はこんなにも不器用なのかな。