歩み
でも優はちゃんと広瀬と向き合おうとしていた。彼女の中へ入ろうとしていたね。
「そう…か?いい子だよ…」
突然優は小さな声でこう言ってきた。
優を見ると、そこには別人のようになった優がいた。
顔を真っ赤に染めて、軽く唇を噛み締め、視線を俺と合わせない優。
初めてかな、こんな優を見たのは。
どこか乙女のように見える。
優が可愛く思えた。
そっか、そうだね。
優の気持ちはそうなんだね。
分かってしまったよ。
「優は広瀬のことになると嬉しそうになるよな」
優の気持ちを玩ぶように怪しく笑う俺。
嬉しいんだよ、俺。
優の照れた顔を見たのは久しぶりだったから。
咲く笑顔。
咲かしたのは誰?
優と別れたのは夕日がいなくなった時刻だった。
帰るとき、気持ちが軽くなっていたのに気づく。
優に笑顔が少し戻ったからかな。
空に浮かぶ笑う月。
なぜ笑っているの?
俺と同じ気持ちだったら喜んでしまうよ。
そして修学旅行の日。
優の笑顔が満開となったんだ…。