歩み



優なら止めると思っていた。
『行くな』と言って、無理矢理引き止めると思っていたよ。


それは単なる俺の勘違いだったのかな?



「いいんだ…百合の夢だから。俺は応援するって決めたんだ…」



こう言って、俺を見つめ、笑顔になった優。
その笑った顔を見た瞬間、体から力が抜けていった。




「優……」



好きだから求めるけど、好きだから求めないときもある。



優はそうしたんだね。
愛する人の夢を奪わなかったんだ。


好きだから、見送る。
好きだから、応援をする。



それは小林への最大の愛情表現だったのだ。



俺は何も言わない。
優の決意を汚すことなんてできないから。



小林は幸せだな。
こんな最高の彼氏がいて。


だから、戻っておいでよ。




この日、小林は学校に来なかった。
準備などで忙しいのだろう。
優は俺たちの前で泣くことはなかった。
弱い自分を見せることはなかった。

努力をしているのだと思う。
強くなろうと…。




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