夫婦の始まりは一夜の過ちから。
可笑しくないですか?と今にも上司に歩み寄っていきそうなことみに。
みるみる上司の表情が曇っていく。
「中谷くん」
「はい」
「とりあえず君はもう帰りなさい。それと長沢くんはちょっと話がある」
上司のその発言に目を大きくする私とことみ。
「お疲れ」
そう言って私の肩を叩いた上司の顔を見れば、然り気無くウインクしてきて。
それはまるで早く行きなさいと言っているみたいだ。
確実に偶然ではなくこれは助けてもらえた事が分かる。
上司は私と壱が結婚してる事も、黙っていなければいけない事も知っているから。
「ありがとうございます」
それから私はお礼と挨拶をした後オフィスを飛び出た。