不器用なぼくら
予定通り、早めに仕事を終えた俺は




まっすぐに家に帰ってきた




廉「ただいま」




祖母「廉。おかえり。ご飯食べるかい?」




廉「うん。ありがとう」




仕事から帰ってくるまでばあちゃんは俺を待ってる




どんなに遅くなっても必ず待っていてくれる




あったかい飯を準備してくれている




何より




俺が仕事している姿を見て元気になってくれた




それだけで俺は仕事が頑張れた




廉「あ、ばあちゃん。俺来月連休もらえるみたいなんだ」




祖母「ありゃ!そうかい!よかったじゃないか!」




廉「でしょ。んでさ、せっかくだから温泉とか行かない?」




祖母「あたしゃいーよ。廉はまず体休めなさい」




廉「いーんだよ別に。連休取れるなんてなかなかないんだから。行こうよ」




祖母「・・・そうかい?」




廉「前行きたがってた所あったじゃん。あのチラシのとこ。そこ行こうよ」




祖母「本当かい?楽しみだねぇ」




廉「それまでは俺仕事頑張るよ」




祖母「でも無理すんじゃないよ」




廉「分かってるって」





ばあちゃんはその話をした時




すげぇ喜んでた




できるならじいちゃんも連れてってやりたかったけど




じいちゃんごめんね




ばあちゃんだけ連れてくから




あ、じいちゃん




ヤキモチだけはやかないでよ




















ある日



サキから話をされた




“ちょっと話したい事があるから”って





俺は仕事が終わってからばあちゃんに連絡を入れて





サキとの待ち合わせ場所に行った





会社の近くにある公園




そこが俺と先の待ち合わせ場所だった





廉「サキ」




サキ「あ、廉。ごめんね急に」




廉「うん。いーよ。どしたの?」




サキ「実はね・・・ノリに昨日呼び出されて」





廉「あぁ、彼氏。連絡ないって言ってたけどきたんだ」





サキ「・・・・・・うん」




廉「で、どしたの」




サキ「ノリにね、別れようって言われちゃった」




この時 




思っちゃいけなかったんだけど




俺は嬉しかった




彼氏のいるサキを好きだったから




サキの彼氏のノリって奴はとにかく最低な奴だ




とにかく女遊びの激しい奴で




平気で2股とかする頭のイカれた男




そんでも彼氏を好きって言うサキも




多分イカれた女なんだと思う




そんでそんなイカれた女を好きな俺だって




やっぱりイカれてるんだと思う




廉「・・・で、どうしたいの」




サキ「え?」




廉「彼氏とやり直したいわけ?」




サキ「・・・・・・」





廉「やめとけよ。また同じ事の繰り返しじゃん」





サキ「でも・・・好きなの」




あぁ そうですか




そんでもそいつが好きですか





俺だったら・・・





俺だったらそんな事、絶対しないのに
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