マスカレードに誘われて

「兄……様……?」

声が掠れている。
キースは彼女の顔を覗き込んだ。

「大丈夫……じゃなさそうだね」

返事をしてくれたことに、一先ず安心する。
それでも彼は、苦々しそうに溜め息をついた。

エリカはしばらくそんな兄の顔を見つめていたが、やがて自分の力で身体を起こした。

「お母様が、助けてくれたの」

「……はい?」

思わず聞き返す。
彼女は床に散らばった石の破片を触りながら、ぼんやりと話す。

「何が起きたのか分からない。でも、死ぬかもって思ったときに、急に石が光って何か弾けて……気が付いたら、何もなくなってた」

「そうか……」

< 155 / 164 >

この作品をシェア

pagetop