マスカレードに誘われて
「兄……様……?」
声が掠れている。
キースは彼女の顔を覗き込んだ。
「大丈夫……じゃなさそうだね」
返事をしてくれたことに、一先ず安心する。
それでも彼は、苦々しそうに溜め息をついた。
エリカはしばらくそんな兄の顔を見つめていたが、やがて自分の力で身体を起こした。
「お母様が、助けてくれたの」
「……はい?」
思わず聞き返す。
彼女は床に散らばった石の破片を触りながら、ぼんやりと話す。
「何が起きたのか分からない。でも、死ぬかもって思ったときに、急に石が光って何か弾けて……気が付いたら、何もなくなってた」
「そうか……」