マスカレードに誘われて

相槌を打つも、正直どう反応したらいいのか分からない。

お世辞にも彼女は心身共に、無傷とは言えない。
虚ろな目で、床を見つめる。

「初めて死にたいって思った」

「何で――」

「だって、何のために生きているのか分からないんだもの。コレが終われば、また私は暗い世界に逆戻り。次に兄様と会えるのは一年後」

「……」

「そんなのを繰り返すのなら、死んだ方がマシだって思った」

「……それはどうかな?」

キースの言葉に、エリカが顔を上げる。
そして、彼を鋭く睨んだ。

「そんな気休めにしかならない慰めの言葉なんていらないわ」

「気休めなんかじゃない」

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