マスカレードに誘われて

「今まで、一人で戦ってきたんだもの。今年だっていけるはずよ」

「そう、上手くいくものなのか?」

「ええ。兄様には分からないでしょうけど。
今年は相手が三倍に増えるだけ。それだけなのよ」

「……」

「だから、兄様はロイ様とイヴ様を助けてあげて」

「……」

二人の間に静寂が訪れる。
風が吹き、木がざわめく。
やがて、キースが口を開いた。

「……ここの回廊に、鍵を掛けておいた」

「……え?」

「鍵は僕が持っている。僕が鍵を開けない限り、君は外へ出られないし、ここへ部外者が入ってくることもない」

「そう……」

「だから、君は全力を尽くして任務を全うしてくれ」

「……」

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