マスカレードに誘われて

その時、背をつけている扉が僅かに揺れた。
イヴは跳ね上がり、振り向く。

しかし、何が起こっているのか分からない。

彼女は扉の鍵穴を覗き込んだ。

「……!」

薄暗い回廊が目に入る。
幽かな月明かりに照らされ、不気味な雰囲気を増していた。

その中を、剣片手に動き回る一人の侍女。
髪型からして、見覚えがある。

彼女の周りには、地下室の扉を開けたときに追い掛けてきた"影"。
そして、草花のツル。

化け物と思えるそれら。
それに対して、彼女は慣れたように剣を振るっていた。

不意に彼女がこちらを振り向く。

彼女を見たイヴは、目を丸くした。

「エリカ……?」

呆然と呟く。
その時。

「イヴ!伏せて!!」

ロイの声が耳に届く。
イヴは頭を覆い、その場にしゃがんだ。

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