あの二人に敬意を払おう
大剣を杖代わりにし、視界の端で、巨大な群青の光を捉える。
大地に広がる魔法陣だ。
邪悪な呻き声が地の底から這い出てくる。
何とか体勢を立て直し前方を睨むと、巨大な頭が生えていた。
水で構築された――巨人。
一際輝く赤い眼光がこちらを捉え、心持ち窮屈な、異界と繋がるウルトラマリンの円形のゲートから、高層ビルのように巨大な右腕が現れる。
巨人の右手が、大地を叩いた。
どおんっ、という耳を塞ぎたくなるような轟音が崩壊途中の空間を駆けめぐる。
ずあ――とその巨躯が、勢い良く伸びた。やっとの思いで上半身が見えたのである。
上半身だけでも山に匹敵するサイズ。
「…………」
見とれていると、背後の水溜まりから、一体の水人形が構築された。
どうやら不意打ちのつもりらしいが、その程度ならばベベリギアには通用しない。右手が直剣に変貌している敵の刃を振り向きもせず、肩に大剣を乗せるという行為だけで受け止めた。
「失せろ」
言下の出現。
人形の足元に紅蓮の魔法陣が展開。火柱が上がった。
火だるまになる背後の敵。
やはりベベリギアの眼中には無い。
警戒すべきは巨人。
両手が大地を掴み、一気に下半身までが現れる。
全長、天を突くほどの巨躯。
