青春と幼なじみ
「ちょっと待って!
私暗いとこダメだし、怖いのもダメなんだけど…」
「大丈夫だって。
俺たちがいるだろ?」
ニヤッと笑う南は、絶対わかっててここを選んだ…。
「わ、私ここで待ってるから、二人で行ってきたら?」
「何言ってんだよ。
二人で行ったってつまんないだろ?」
「確かに。
葵がいないと驚く人がいなくて、面白くないな…」
「葉月までそんな…」
「ほら、行くぞー」
「え〜!?」
嫌がる私を引きずって、南と葉月は楽しそうにお化け屋敷の中へ入っていった。
…中は薄暗くて、何ヵ所か光があるぐらいだった。
怖い…。
『ウガー!』
「キャー!!」
いきなり壁から包帯を巻いた男の人が出てくる。
あれは人形、人形…!
心の中で何度も唱えた。
けど…やっぱり怖い!
私は右隣にいた葉月の腕にギュッと抱きついた。
「葵…?」
「葉月…怖いよ…」
今にも泣き出してしまいそうな時
「よしよし、大丈夫だから…」
頭を優しく撫でてくれた。
葉月のおかげで少し落ち着く…。
「…葵…」
「え?」
左隣から南の声が聞こえたかと思うと、ギュッと手を繋がれた。
「南…?
…もしかして、怖いの?」
「ちげーよ。
こうとるとお前が安心すると思ったから…」
最後らへんはゴニョゴニョと声が小さくなっていた。
顔を赤くする南は
「…やっぱいい」
と言って手を放そうとした。
その手をまたとる。
「ありがとう、南。
手、繋いでてくれる?」
「お、おぅ…」
暗くてよくわかんないかもしれないけど、にっこりとして言った。