青春と幼なじみ
「わ〜、ごめん!
すっかり忘れてた!」
「いいですよ。
小さい頃の記憶だし、覚えてなくても当然って言うか…」
「へー、お前あん時のちんちくりんか?
見ない間に結構変わったな」
「そうですか?
南くんこそ変わってるように見えるけど、あまり変わってませんね」
「何!?
これでも結構変わったんだぞ!」
「そうだな。
授業をサボることはあっても、ケンカしなくなったし」
「それは…!
…ケンカしたら葉月も葵もうるせぇからで…」
ブツブツと顔を赤くして文句をたれている。
「それにしてもホント。
琉衣変わったね。
可愛くなってるよ」
にっこりと恥ずかし気もなく、真っ直ぐと言える葉月はすごい…。
「あ、ありがとう…。
葉月くんも世話焼きなところとか変わってないみたいですね」
「まあな。
こいつらいつも手に負えるから…」
「あ、ひどい葉月!
私じゃなくて南がいつも悪いんだからね!」
「んだと!?
人のせいばっかしてんじゃねぇよ!」
「人のせいって…!」
「はいはい、ケンカしない。
まったく、二人とも俺から見るとどっちもどっちだよ」
「痛っ」
ペチンとデコピンされる。
「む〜」
「…ハハッ。
あおちゃんたちやっぱ全然変わらないね。
あっ…」
「…なんだ。
敬語なしでもしゃべれるじゃん」
「あ、いや、これは…」
「敬語なんて固っ苦しいもん止めちまえ」
「俺たちの前だけでも昔みたいに話してくれるといいよ」
「う、うん…。
ありがとう」
「おーい、そろそろHR終わってもいいか〜」
私たちが話している間、すでにみんな席替えを終了させていた。
「んじゃ、新しい仲間とも二学期頑張ってけー。
HR終わり」
先生が教室から出て行った後、またクラスは賑やかになった。
「ま、騒がしいクラスだが、いい奴ばっかだ」
「できるだけ俺らもわからないことがあれば助ける」
「これから二年半、よろしくね!」
「…うん、よろしく!」
もう一人の幼なじみと10年ぶりの再会を果たした私たち。
最初は彼女との記憶を忘れていたけど、ちゃんと思い出せたことだし、また昔みたいに一緒に楽しくいられるといいな。
たとえ、お金持ちのお嬢様だとしても…。