青春と幼なじみ
南、どこにいるんだろ・・・?
急いで南を見つけるため、廊下を走る。
その度に何度も先生から注意を受けた。
今は忙しいから全部無視したけど・・・。
「あっ!
葉月!」
前から葉月が走ってくる。
「どう、見つかった?」
「まだ・・・」
「そっか。
となれば・・・」
何かひらめいたように葉月はある場所へまっすぐ向かいだした。
「は、葉月!?」
「俺の読みが当たってたら多分・・・。
南はあそこにいる」
「あそこって・・・」
葉月は答えず、どんどん進んで行く。
私には葉月が言っていた「あそこ」という場所が思い浮かばなかった。
そしてついた場所は。
「屋上・・・?」
「そっ」
屋上の扉を開ける。
すると、真ん中に一人座って空を見てる人がいた。
「・・・南?」
声をかけると、その人はゆっくりこっちに振り返った。
振り返った人は・・・やっぱり南だった。
「南!」
急いで南のそばにかけよろうとした。
けど、
「こっち来んな!」
南の怒鳴り声が聞こえた。
びくっとして足を止める。
南はまた私たちに背中を向けてしまった。
「み・・・なみ?」
「頼むから・・・今はこっちに来ないでくれ・・・」
いつもの悪口を言う元気な南の声とは裏腹に、何とも弱々しい声が聞こえた。
「何で・・・?」
「なんでもいいだろ・・・。
頼むから!
今は一人にしといてくれよ・・・」
いつもの南じゃなくて、どうすればいいのかわからない・・・。
オロオロとしてると、葉月が隣に来て
「南、こいつはお前のことを心配してご飯も食わずにお前を探してたんだぞ。
それなのに、それはないだろ・・・」
「・・・誰が探してくれって頼んだよ・・・。
迷惑なんだよ!
お前らのそういうお節介!」
「南!」
南が叫んだ後、葉月もすぐ南の名前を叫んだ。
それに南ははっとして後ろを振り返る。
私は・・・泣いていた。