御劔 光の風2
「好きな方がおかしいでしょう?」

「それでも昔は…そうじゃなかった。」

苦々しく吐き出した素直。

ラファルがカルサの不安を取り除くように身体を擦り寄せた。

分かっている、前に進む為に訪れることを選んだのは自分。

気持ちが乱れるのは弱さがある証拠。

カルサは両手で顔を覆い、深い呼吸をしてゆっくりと息を吐いた。

手を外して空を仰ぎ、弓なりに身体を反らせる。

「悪かった。気持ちを切り替える。」

起き上がったカルサは先程までと変わり、清々しい顔を見せた。

余裕がある、少なくとも腹は括ったようだ。

千羅は眉を上げて笑い、拳を真っすぐカルサに向けた。

「病んだら風神に慰めてもらって下さい?ジンロの所へ戻りましょう。」

「お前は一言余計だ。」

目を細めて不機嫌な態度を表しつつも、拳を彼のそれに当てて来た道を戻ろうとした。

その時だった。

ドォン!

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