御劔 光の風2
若いと言われるが悪口でない限り子供とは言われない。

縁談もしきりに持ちかけられるようになった。

世継ぎをと期待される程に自分達も年を重ねていたのだ。

「早いもんだな。」

そう呟いて、カルサは懐かしむように笑う。

サルスも同じ様に笑った。

「そうだな。いつのまにか…こんなに時が経ってしまった。」

思い出は決していいものではない。

耐えぬく日々、何度も限界に立ち支え合った。

カルサにとってサルスは最高の秘書官だった。

「お前がいたから、ここまで来れた。」

カルサは身体ごとサルスと向き合い、右手を差し出した。

「ありがとう。」

今までの想いをカルサはその一言に込めた。

王位についてからは国外に出ることもなく、ひたすら国と自分の中で戦って生き抜いてきた。

そんなカルサが、しばらくはいない。

詳しくは告げられない御劔の事情にサルスは耐えるしかなかった。


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