御劔 光の風2
何度聞いても雷神のことについてカルサは語ろうとしなかった。

幼かった頃、信頼をされていないから話してくれないのだとカルサに怒りをぶつけたことがある。

あの時のことは忘れない。

悲痛な表情を浮かべてカルサは囁くように叫んだのだ。

もう二度と言わせたくないと思った、聞くのが怖いとも思った。

だから聞かない。

カルサは全てをサルスに託して、自分のやるべき事をやる為に歩き出すのだ。

この握手は終わりと始まりの合図だった。

「こっちのセリフだ。」

サルスは思わず吹き出してしまう。

思い返せば、いつも二人でいた。

その時代に幕を閉じるのだろう、この旅は今までの形が終わってしまう意味を持つような気がした。

「ありがとう。」

サルスはカルサの手をしっかりと握った。

二人だけに伝わる想いがある。


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