御劔 光の風2
まさかの反応にリュナは顔を真っ赤にしてしまった。

やはりいつものカルサじゃない。

本人が言った通りキオのように、つまりは貴未のように振る舞うつもりなのだ。

ということは総本山にいる間は何度もこの笑顔を見れるのだろうか。

「心臓がもたない。」

心の中だけでは消化できず囁くように叫んだ。

正直、普段の無愛想なカルサを見慣れているおかげで感情を出されると心臓が跳ねる。

思考も身体も固まって動けなくなるのだ。

それでもその笑顔を見ているだけで幸せな気持ちになれた。

なんて贅沢な旅だろう、リュナは顔の緩みを止められそうにないと頬に手を当てる。

「二人とも。この扉の向こうが謁見の間、そこに王がいるよ。」

しばらく歩いたあと、沙更陣は大きな扉の前で立ち止まった。

準備はいいかとカルサとリュナ、二人の顔を見て視線で確認をする。

カルサは軽く頷き、リュナも肩を上げたままだがぎこちなく頷いた。

沙更陣は微笑むと前を向き、軽く頭を下げる。


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