御劔 光の風2
二人に微笑むと、守麗王は静かに歩み寄り目の前に屈んだ。

二人とも顔を下げたまま気配だけを感じる。

「顔を上げなさい。」

その声にリュナはゆっくりと顔を上げた。

まるで母親のように優しい表情の守麗王が目の前にいる。

リュナは緊張で呼吸が乱れてしまった。

「長旅ご苦労でした。御劔の総本山へようこそ。そして、おかえりなさい。」

守麗王の言葉にリュナは頬を赤くした。

おかえりなさい、そう言われたことが嬉しくて、でもどこかくすぐったくてはにかむ。

「ありがとうございます。」

浅くお辞儀をした、守麗王はリュナを見て頷き、そしてカルサを見た。

カルサは軽く頭を下げたまま動かない。

「沙更陣、二人を部屋に案内して上げてくれる?」

守麗王はそう言って立ち上がると、沙更陣が二人の近くに寄ってきた。

「部屋を用意してあります。まずはゆっくり休みなさい。」

「では、行こうか。」

沙更陣は二人を促す。


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