叶多とあたし
「お前な・・。叶多はお前のこと心配して言ってるんだよ」
「ふんっ。彼哉には関係無いでしょ!?」
おいおいおい。それはねぇだろ・・・。
と彼哉は思った。
日芽が俺ん家にいる時点で関わっちゃってるから・・・。
「わ・た・し・は、あいつが、大っ嫌いなの!!!」
出来れば関わりたくないのにさぁ・・・・。
「だから、叶多はお前を心配して・・」
「それが嫌なの!!!!」
日芽は叫んだ。さっきまでとは比べものにならないほど大きく、
彼哉は、日芽の目から涙が滲んでいるのに気付いた。
「・・・泣くなよ・・」
「泣いてないっ!!」
「・・わかった・・もう寝よう」
日芽に当てられても、そう言った彼哉の声は優しかった。
彼哉は階段を上る手前で振り返って、言った。
「4年前のこと、日芽は悪くないよ。
叶多も悪くない・・・」
4年前・・・私は叶多を嫌いになった。
「うるさい・・・っ」
涙がこぼれた。
明日、当の兄と遊園地に行かなければならないことなど、すっかり忘れていた。