あの子の隣に座るコツ!
「あっ、でも。このルートだと警備室の前を通らないといけませんね?」



すっかりいつもの機嫌に戻ったらしいユウキちゃんが、意見を投げ掛けた。



「そこなんだ。昇降口から入るとすると、どうしても警備室の前を通る必要がある。昇降口に入ったら一旦西館に回って、2階の渡り廊下を通り、本館に戻るっていうルートもあるけど」


「それだと、西館と本館を繋ぐ扉のカギを、誰かが開けなきゃね」



アリサが、進の言わんとすることを補った。西館に回るなら、ミッションの際にカギを開ける人間が必要だ。


ミッションの事がばれないように、コトが済んだら再びカギをかけるのも必要だし、少し現実的ではないって話だ。




「とすれば、潜入は窓だ。4階に続く階段前の窓」



校舎の見取り図に描いてある、1階の階段の記号。2箇所あるその記号のうちの1つに、進は大きくチョークでバツ印を付けた。



「警備員は見回り後この階段を通って警備室に戻る。それを確認して窓から潜入するんだ」


ふぅん。これなら昇降口から階段までの長い移動距離が一気に短縮されるな。どちらにしろこっそり移動する必要はあるけど。



「きっと次の見回りまである程度時間は空く。警備員の巡回ルートは…」



そう言いながら、またも白チョークをササッと走らせる進。ノリノリじゃないか。俺より真剣だよ、どう見ても。



それはさておき、進の手が止まる。警備員の巡回ルートは、というと。


なるほど、オーソドックスに1階から2、3、4階と、順番に上階へ進んでいく経路のようだ。



「確かな筋からの情報だ。信用していい」


「ヘェ。これならやり易いね」


啓一が楽しそうに声をあげた。コイツもなかなかに悪そうな顔しやがって。



「おぉ!俺たちは階段上って一気に4階まで行くから、警備員が1階から3階を見回っている間は、まるまるテスト問題を探せるってことですね!」



その通り。バカのクセによく気付いたな、直紀。
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