ヤサオトコ

 『玄海』で寿司を食べていると、田原に電話が入った。


 「すんまへん。ちょっと・・・」


 田原が携帯電話を持って店の隅へ。
 暫くすると、真剣な顔をして田原が戻って来た。


 「部長、申し訳ありまへん。急用で会社に戻らんといかんようになりましてな。よろしいでっか」


 田原が大仰に頭を下げた。


 「原ちゃん、遠慮せんと行っといで」


 沙幸が上機嫌で、田原に帰社するよう勧めた。


 「部長、恩にきます。栗崎、後頼んだで」


 田原が走るように店を出て行った。


 「そんな・・・」


 栗崎は、田原の後ろ姿を呆然と見送っていた
 田原は予め部下に、電話を掛けて来るように指示していたのだ。






< 103 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop